機械仕掛けのハックルベリー

【アルバムレビュー】

 

前作から約4年。待望のニューアルバム。

実に個性豊かな楽曲が並んでいるが、

一貫しているのは「皮肉と愛情」ではないかと思う。

 

こんなはずじゃなかった世界に生きる植物たち、

悪いことがそんなに悪いかと吐き捨てる

ハックルベリー、イカれたシステムに気づいてなお

「なんて素敵な世界」と言うしかない現実...

 

などなど冒頭から愛情と哀愁と、そしてアイロニーで

はじまるが、前作よりもスケールアップしている。

その後も素晴らしい。

 

「夜鷹の声」聴く者を惹きつけてやまない静寂。

そこから「Yellow Christmas」の哀しくも温かい

3分間の物語。僕のお気に入りはその次の

「時空のパレット」。作品に自らの生命を吹き込む

作曲家YOSSEYそのものである。

「Our Favorite Shop」はファンにはおなじみの

ゴキゲンなチューンだが、こうして新曲と並んで

置かれてみるとルーツのわかる曲だなと思う。

 

 最終曲には昔から温められてきた

「アスファルトの花」

このアルバムではヴォーカルはエコーのない裸の状態

で御目見え。これは素晴らしいと思った。

耳元で囁くように聴こえる!

そしてその他の内容も素晴らしい。

まさに「愛」と「現実」の讃歌である。

 

このアルバムのアイロニーは、地球を救うと思う。

このアルバムは繰り返して聴くべし。

 

そして永遠に続く「今」を感じてほしい。

 

ミュージシャン 塚田悠仁